以前、停泊時のエアコン稼働を目論んでリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(以後LiFePO4)を使った大容量ポータブル電源を作りました。
計算上これで8時間くらいエアコンが稼働すると思ったんですが、結果は6時間程度しか動かず・・・。
その理由として大きかったのは、DC-ACインバーターの変換効率。
諸元表では90%とか書いてありましたので鵜呑みにしてしまったんですが、実際に測定してみると80%程度。その他にも接続端子や配線でのロスがあり、期待通りの時間は動いてくれませんでした。トホホ・・・。
これでは意味がありませんから、作り直すことにしました。
材料は殆どhttps://ja.aliexpress.com/で調達します。
前回は完成品のLiFePO4バッテリー(充電器とセルとBMS※1が一緒になった完成品)を使いましたが、今回はセルとBMSと充電器をそれぞれ自分で選んで購入することにしました。
※BMS=バッテリーマネジメントシステム・・・バッテリーのセルのみでは充放電制御・温度制御・セル間ばらつき制御等ができないので一括して管理する基板ユニットの事。これが無いとバッテリーの保護管理ができないので自作の場合は必須の装置。
バッテリー容量の選定ですが、前回は120Ahを選定しました。
しかしこれでは足りないことが判明し、容量あたり単価が優れている280Ahを選択。単純に倍以上の容量になります。
1セル3.2V×4セル=12.8Vとなります。
最大出力は280Aですので、エアコン稼働には十分すぎます。
組み合わせるBMSは12V(4セル)で200A出力可能な物をチョイス。
何A出力の物にするかは使い方次第で選びましょう。
これもエアコン稼働には十分すぎるスペックですが、余裕を持たせています。
スマートフォンアプリでバッテリーのステータスを確認できるタイプを選びました。
これなら車外に置いたバッテリーの充電残量を車内からできて便利です。
最後、充電器は
移動中にヘッド車インバーターから充電することを想定し、1200W充電器を選択。
ヘッド車インバーターだとこの位が限界です。
BMSは充電電流100Aまで耐えられますので40Aで全然問題なし。
以前のバッテリー(右側)を取り外し、LiFePO4生セルをボックスに収め中。
ボックスは再利用です。
バッテリーセル、BMS、インバーター(仮)が収まりました。
各セルは両面テープで接着した上でPPバンドで縛りました。
これがBMSです。バッテリーのマイナス端子と負荷との間に挿入します。
そして各セルの電圧を拾うための線も結合します。
今回充電器はボックス内に収められないので、RSコンポーネンツで買ったアンダーソンプラグもどきで接続しました。このコネクターは120AまでOKです。
ここは別に持っている弱めの充電器を接続することや、その他今後の拡張性を考えてプラグ方式にしました。
これが新調した充電器です。液晶画面もあってわかりやすい!液晶画面にはバックライト付き。
さて、最近は夏日が続いておりテストにもってこいの陽気です。
今日の日中に1度バッテリーを放電しきりましたので、今晩満充電にして明日の日中にでも稼働実験をしてみようと思います。
ただ・・・
以前と比べるとバッテリー一式がめちゃめちゃ重くなりました。30kgは超えていると思います…。
6/11追記:
最高気温が27℃というあまり暑くない日でしたが、AM8:00からエアコン稼働実験開始。24℃設定で冷房運転、風量は自動。シェードは全部オープンで外光が入るようにしました。
昼に見たときはバッテリー残量が80%台。昼食をトレーラー内で食べて、昼休みを涼しい車内で過ごしました。
午後再び仕事に行き、夕方仕事が終わって17時頃に確認したところバッテリー残量は50%台でした。
この感じなら家族全員車内に居ても一晩は余裕で動きそう!?
寝苦しい夜とはおさらばかな!?
そして実験終了後はヘッド車インバーターからの充電テスト。
現在手持ちの充電器は2種類あり、
25Aタイプと40Aタイプがあります。
40Aタイプがヘッド車インバーターからでも問題なく充電できるのかテストしてみました。
まずは様子見で25Aタイプ
無事充電を開始しています。
ヘッド車インバーターの消費電力はというと
二次側(出力側)480Wですので一次側(変換前の12V側)は35~40A程度ってところでしょうか。
「Current」の欄が-20Aとなっているので、20Aで充電されているようです。(この時、充電しながら5A程放電もしていたので実際は25Aで充電されています)
次は40A充電器。
こちらも問題なく充電が始まりました。
ヘッド車インバーターで消費電力を見ると
消費電力710Wですか。もっとあると思ってました。
一次側は55~60A程消費ですね。
BMSの画面上では-34Aですが、先ほどと同じように5A程放電しながら充電してこの数値なので実際は39Aとなりいずれの充電器も定格通り充電できることが確認できました。
今日の実験のまとめ
●ヘッド車DC-ACインバーターで大容量ポタ電を充電できる(走行充電もどき)
●RVパークやキャンプ場等で100Vが15A使えるところならフックアップ&ポタ電25A充電もできそう
6/12追記:
今日はキャンピングトレーラー冷蔵庫がどの位駆動できるか実験してみました。
製品:Dometic 150L 3WAY冷蔵庫
冷却ツマミ:最大
消費電力:230V190W
最高気温:27℃
予冷無しの状態でAM8:00実験スタート。
日中に2回冷蔵庫と冷凍庫を開け、冷気を追い出す。
そしてポタ電インバーターが低電圧警報を出したのがPM11:30でした。
実に15時間30分、冷蔵庫を冷却し続けることに成功です!
ここでちょっと計算で答え合わせ。
冷蔵庫の消費電力は190Wですが、トレーラー内バッテリーチャージャーが少し仕事しているので実験中の負荷は+10Wと考えましょう。
ポタ電インバーター変換効率が多分85%位×100V→230Vトランスが多分98%位=合計の変換効率は約83%
交流部分:200W÷0.83= 約240W消費
対してBMSの記録を見てみると、電流計はずっと20A付近を指していました。
直流部分:20A×12.8V=256W
ほぼ計算通りですね。冷蔵庫駆動時は直流部分で20A程使うというのは計算からも実験からも相違ないことを確認できましたので実験は成功でしょう。
半日以上冷蔵庫を駆動させられる大容量ポタ電はLPガスの節約にももってこいです。