びーだぶ家のキャンピングトレーラー日誌

デリカD:5ディーゼルでキャンピングトレーラー(Hobby 490KMF)ひっきーしてます。基本DIYでのメンテナンスや改造、修理を試みています。

hobby 490KMFのバッテリーを結果的にリン酸鉄リチウムイオンバッテリーにした話

なかなか懸念事項が多くて踏み切れなかったキャンピングトレーラーバッテリーのリチウムイオン化ですが、現況の不満、費用対効果(ランニングコスト)、懸念事項がおおよそクリアーできたこと等を鑑みまして、思い切って交換に踏み切りました。

 

現在我が家のhobbyトレーラーにはMF27サイズのカルシウム鉛極板格子採用セミサイクルバッテリー(以後Caバッテリー)が2個搭載されていまして、

RC値:160×2=320程度

20時間率:100Ah程度×2=200Ah程度

これが現在のスペックとなります。

※20時間率表記は無いので推測です

 

まず現況の不満・・・。

実はhobbyトレーラーに搭載されている充電器は、日本国内一般的にレジャー用としてよく使用されているCaバッテリー(例:VoygerやSMF○○-XXX、G'cleシリーズ等)に向いていません。

以前ブログコメントで頂きまして、自分でも調査した結果その通りでした。ありがとうございました。

Caバッテリーを充電する際はアブソーブ(吸収)充電期に16V程度必要なのですが、hobby搭載充電器は充電中のログを取ったところ吸収充電期に最大14.7Vまでしかかかっていませんでした。つまりトレーラーに電源を接続してバッテリーを充電したところで、万年充電不足になっていたんです。

これではバッテリーを新品に交換したところですぐ不活化が進み、長持ちしないのは必至。勿体ないことこの上ありません。

一番簡単と思われる改善方法は、hobby搭載充電器でちゃんと充電できるバッテリーを搭載すること。hobby搭載充電器はバッテリーのタイプを選択でき、STD、GEL、AGMの3つから選択できます。このSTDという表記のせいで私は誤解していて、どうやらhobbyで言うSTDというのは調査の結果旧来のアンチモン系バッテリーを指すようです。STD=旧来のアンチモン系バッテリーは液減りも多くて実用的ではありませんから、選ぶとすればGELバッテリーかAGMバッテリーになります。

ではGEL/AGMバッテリーに交換するには費用はどのくらいになるかと言うと、200Ah品ではGELだと約¥80,000。AGMだと約¥100,000かかります。

現在使用しているCaバッテリーが¥32,000程ということと寿命を加味すると、どちらが得なのか悩ましいところ。

ではhobby搭載充電器を変えてしまえばいいのでは?となりますが、これについては車両モニターとの相互関係や走行充電器との連携もあって一筋縄にはいきそうもありません。

 

ここまでまとめると、hobby充電器をそのままにすること前提では

①不向きだがCaバッテリーを約2年ごとに交換する。コストは年¥16,000程?

②GELやAGMバッテリーにして4~5年寿命を期待する。コストは年¥16,000~¥25,000程?

となります。なんだか「どっちでもいいか」って感じですね(笑)

でも①は精神衛生上よくありませんので、やるなら②かな・・・。

で、そこで第3の候補”リチウムイオン化”が出てくるんですが、

③リチウムイオン(LiFepo4) BMS付き 寿命は6年期待。コストは年¥13,000程?

となりますので”いくらか”安いかなと思います。

 

が、1つ圧倒的にメリットがありまして『軽い』という点です。

キャンピングカー/トレーラーでは車が軽くなるのはメリットでしか無く、200Ahクラスを搭載するのであれば

Caバッテリー 50kg

GEL/AGMバッテリー 70~75kg

に対して、

リチウムイオン(LiFepo4)25kg

と圧倒的に軽いんです。

 

コストが変わらない若しくは安くなる、そして圧倒的に軽くなるのであれば1択かなぁ・・となりますね。

で、ここで1つ重要な点が。充電器はそのままで大丈夫なの?という点。

 

実はどうしても「hobby搭載の充電器を使いたい」というのが頭にあったのでリチウムイオン化を先送りしていたんですが、前述の通りhobby搭載充電器の電圧・電流のログを取ったところ最大で14.6V、8A程度しか流れていませんでした。ということは・・・

BMS付きLiFepo4組みバッテリーの説明

hobby搭載充電器でイケるのではないか?

 

鉛バッテリー充電器でも電圧を合わせればLifepo4も充電できるのか、まずは似た環境で実験してみることにしました。実験台になったのは私の仕事用車両。

今まで250Ah鉛液式バッテリーを搭載して24V→12V走行充電器で充電して使っておりましたが、1年ほど前にLiFepo4の組みバッテリーに交換しました。インバーターを経由してエアーコンプレッサーや電動工具、車内パソコン等を毎日ヘビーに使用しています。

毎日過酷に使用されているLiFepo4バッテリー

この車の走行充電器はバルク充電、アブソーブ充電、フロート充電の各段階で電圧や電流、最大時間を任意に設定できるので、LiFepo4に交換したタイミングでアブソーブ充電電圧上限を14.6Vに設定してこの1年仕事で使ってみました。

この車の走行充電器

モニターを見ながら各ステージでの充電を監視していると、全く問題なく充電ができていることがわかりました。ということは、上限電圧が規定以上にならなければ鉛電池用の充電器でも問題が無いということがわかったのです。

(LiFepo4はバルク、アブソーブではガンガン電気を飲むが満充電になると急に飲まなくなり、そうすると充電器はフロートに移行して結果的に充電は止まる)

 

では「多分hobby搭載充電器のままで大丈夫だろう」という見込みで、トレーラー用LiFepo4バッテリーを購入!これダメだったら本当に洒落にならないけど・・・。

で、無事に入荷。車両火災にでもなってしまったら大変なので、まずは可燃物が無い屋外で検品と試験です。

テスト中

今回KEPWORTHの200Ahを購入。我が家的に容量は100~120Ahあれば十分かなと思っていたんですが、電子レンジも使うので瞬間取り出し電流に余裕のある物が良いと判断。それとhobbyトレーラーのバッテリーセンサーがD型端子に取り付けるタイプなので、加工を最小限とするべくバッテリー端子がD型になっている物からのチョイスとなりました。

屋外の可燃物が無い所でDC-ACインバーターを介して1200Wセラミックファンヒーターを動作させ、約30分の負荷試験。直流部分では130A程になりますが、バッテリー各部発熱等も無く動作は良好でした。試験中はバッテリーを揺さぶったり傾けたりし、短絡や物音がしないかどうかも念入りにチェック。今のところ大丈夫そう。

サーモカメラでのチェック

その後は充電試験。

充電試験

40A充電器で満充電にさせましたところ157Ah分入りました。入荷時もある程度充電があった状態なので、多分200Ah程度の容量はあるんだと思います。

 

今のところ異常は無く発熱・発火の心配も無いようなので、トレーラーに搭載していきましょう。

既存バッテリー達

途中まで配線を外しちゃってありますが、もう劣化が進んでいるバッテリー達を撤去。

 

置き換え完了

既存のバッテリーボックスを取っ払い、木枠を使ってバッテリーを固定。バッテリーを留めているバンドも従来の物を再利用です。

またいつでもまた鉛バッテリーに戻せるよう、配線の加工等は一切行っていません。

 

いや~それにしてもバッテリーが軽い!同容量使えるのに約20kg軽くなってるんですから車体にも優しそうです。

 

そうしてこの日の夜はトレーラーに泊まり、灯油FFヒーターを点けたりトルマガスヒーターのファンだけ回したりして電気を使用。

朝になったらトレーラーに100Vコンセントを繋ぎ、充電を開始しました。

30分に1回充電モニターを確認し、挙動に怪しい点が無いかチェック。そして昼過ぎに確認したところ・・・

充電完了していました

既に充電が完了していた模様。現在の電圧は充電完了後しばらく経った状態なので、落ち着いた電圧値になっています。

充電中は電圧超過も起きず、充電電流もゆっくりだったので問題は無かったはずです。

気になるのはこれで100%まで充電できたのか?ということですが、この状態からバッテリー付属の充電器を接続し、充電がすぐ止まれば満充電であると言うことになります。

 

付属充電器を接続

トレーラーの外部100V入力を遮断し、車内ブレーカーも落としてバッテリー単独状態にしました。そしてしばらくしてからバッテリーに付属してきた定格14.7V充電器を接続し充電開始。さぁ、どのくらいで止まるか?

 

すぐ停止

結果、1分後には充電が停止しました。やはりhobby搭載充電器(モードSTD)だけで満充電になり、今のところ動作に不具合は見当たらないということになりました。

hobby搭載充電器も通常動作でしたので異常な発熱も無く、まず問題ないであろうという判断です。

 

では続きまして、走行充電での挙動を確認します。

またもう1晩トレーラーで宿泊しましてFFヒーターを夜通し使ったりスマートフォンやノートPCを充電したり。あまり深くは無いですが放電させた上で翌朝走行充電のテストをスタート。

走行充電器

こちらは出力14.2Vです。

 

充電中はヘッド車からの送電能力(損失)等もあってか5A前後で推移していましたが、定格出力電圧頭打ちになってきた頃には

頭打ち間際

終期は定電圧充電モードですから急に充電電流値が下がり、最終的にはストンと充電が停止しました。まんま電池の特性が出ている感じですね。監視していた結果、走行充電に関しても特別異常な挙動は無し。

充電停止後しばらくしての状態

バッテリーや内部BMSの詳細なデータシートがありませんからロス分が不明なため何%ほど充電できたのかはわかりませんが、14.2Vでも90%近くまでは充電できたのではないかと思います。

どっちにしろ走行充電で満充電は期待しませんから、自分の中では”異常な動作さえしなければOK”と思っています。

 

まとめ

・手持ちの充電器がCCCV(定電流・定電圧)動作でLiFepo4と電圧特性さえ合えば、そのまま置き換えで大丈夫なはず

・仮に満充電にならないとしても鉛バッテリーのような不活化は起きないから問題ないと思う

・BMSが信用できるのであれば、危険な状態にはならないはず

・鉛バッテリーに比べてLiFepo4は充電中のCC時間が長いので充電完了が少し早いと思う

・別に既存の充電器に無理がかかるわけでは無い

・鉛バッテリーのように満充電保存が鉄則では無いので、充電が完了したら充電は切っておいても良いかもしれない

・充電器を交換すればもっと急速な充電ができるんだろうな

というところで自分の中では落ち着きました。

急速充電できる点がLiFepo4の魅力ではあるんですが、自分の場合急速充電は必要ないと思っているので充電器交換は全く考えていません。それに急速充電をすると今までの経験上セル間バラツキが出やすいと考えているので。

 

一応今回の作業はあくまでも”実験”の意味合いが強く、すぐにでも鉛バッテリーに戻せるように一式残してあります。使用過程で何か問題があれば戻して再試行しようと思います。

さて、今後どうなることやら。。。