先日のスキー旅行で突如訪れたバッテリーが保たない問題。
うちのトレーラーは買ったときからバッテリーが多めに積んであり、105Ah(Brite Star SMF27MS730)が2個並列で(=210Ah)搭載されています。
尚、トレーラーを購入した際、販売店の方で新品に交換してくれています。
それが1年8ヶ月経過した今は見かけ上満充電にしても、
・照明
・ガスFFヒーター(ファン付き)
・スマフォ充電
これだけなのに2時間程度でhobby集中コントロールパネルが低電圧警告を発します。
何故1年8ヶ月程で使い物にならなくなってしまったのでしょうか?
思いつく原因を挙げてみます。
1.交換してくれたバッテリーが新品ではなかった?または不良品?
2.慢性的な充電不足、または過充電。及び保管環境の悪さ
3.使用電気量や使用環境が不適切?
4.異常な暗電流(待機電力のようなもの)
5.単純な寿命
主にこの位でしょうか。
まず1番目『交換してくれたバッテリーが新品ではなかった?または不良品?』から考えてみます。
バッテリー使用開始はトレーラーが納車された2020年の4月。バッテリー自体の製造記号は「KS9I28」と刻印されており、調べてみると
2019年9月28日生まれということが判明しました。
計算すると製造日から使用開始日まで7ヶ月ほどあるようです。
その間の自己放電はあるでしょうが季節的にも最大20%~30%程度と思われますので、仮に補充電を行わない箱入り放置プレイだったとしてもそれ程影響はなかった物と思います。但し製造から国内総輸入元、販売店、店舗と経由しているうちのどこでどの位保管されていたのかが不明ですが、通常であれば総輸入元から取り付け店舗へ直送でしょうから総輸入元で補充電がされていた可能性は高いと思います。
また不良品であったかの疑念については、手持ちの測定器で測定したところバッテリーが2個とも同じような性能劣化具合を示していたためほぼ可能性としてはゼロと言って良いでしょう。
つまり、1番目『交換してくれたバッテリーが新品ではなかった?または不良品?』は除外されます。
続いて2番目『慢性的な充電不足、または過充電。及び保管環境の悪さ』についてですが、バッテリーにとって慢性的な充電不足は容量の低下(サルフェーション形成)等の原因となります。また過充電は活物質の滑落や正極格子の腐食、負極板のクラック等の原因となり、何れもバッテリーの劣化に繋がります。これが起きていたか?という事になりますが、まず我が家のトレーラーは庭に停めている間は常に外部100Vは入力しっぱなしです。これは鉛バッテリーは満充電保管が大原則であり、hobbyトレーラーの充電器にはフロート充電機能が備わっているためです。充電中のhobby集中コントロールパネルを見ていると10A程で定電流充電を行った後に定電圧充電に移行。その後フロート充電に移行している様子を確認済みです。
つまり慢性的な充電不足・過充電は起こりえないと考えます。
但し、使用機会が少ないにも関わらず常に充電状態にあったが故に正極格子の腐食が若干進行した可能性は否めません。
続いて3番目『使用電気量や使用環境が不適切?』ですが、我が家のトレーラーにはDC-ACインバーターを取り付けており電子レンジ等の大電力を必要とする機器を接続して使用することがあります。直流約70A程度の負荷が一時的にかかりますが、バッテリー2個並列ですので1つあたり約35A。使用時間も間欠動作で5分程度ですのでそれ程極端なダメージを与えているとは思えません。また、放電深さに関しても毎回の旅行で30~50%程度しか使用せず、走行中は弱いながらも充電されますし帰宅後もすぐ充電しているのでコチラに関してもそれ程ダメージを与えているとは思えません。
しかし1つ懸念されるのは、バッテリーが納めてあるボックス。
ちょっと古い写真ですが、このバッテリーケースはバッテリーの長手方向だけに固定具を有していますが基本的にバッテリー自体を床に押さえつけるような固定方法がなされていません。
フタをした状態でボックスだけはバンドで床に固定されていますがボックスの中でバッテリーがガタガタと動く状態です。
もしかするとバッテリー自体に規定以上の振動が繰り返し与えられ、極板活物質に何かしらの影響を与えていたのかもしれません。
また、今回停泊したスキー場の外気温はマイナス10度程でした。暖房の影響を受けにくいこのバッテリー設置場所は床からの温度が伝わりやすく、バッテリー自体の温度も下がっていたことと思います。(およそ25℃時に対して80%程度の容量だったと思います)
続いて4番目『異常な暗電流(待機電力のようなもの)』についてですが、hobby集中コントロールパネルで使用電流を見ることができますが異常な暗電流は見受けられませんでした。この検出回路とは別系統になっているDC-ACインバーターについても未使用時はカットスイッチにて遮断しておりますし、仮にカットスイッチがONでインバーターの電源がONになっていても無負荷であればアイドリング電流はわずかです。
つまり、異常な暗電流は無いと考えられます。
続いて5番目『単純な寿命』についてですが、これが一番難しい説明です。
寿命を迎える原因は充放電の仕方であったり、使用方法であったり、使用環境であったり、物理的な衝撃であったり色々とあるわけですが、それらが複合的に絡んできます。
要するにバッテリーの寿命というのは「劣化が進み、使用するに際して必要な電力量を蓄えることができなくなった状態」と言い換えることができると思いますので、ずばり今の状態=寿命を迎えたで合っていると思います。
『何かを改善したらまたバッテリーが使えるようになった』ということは起きえないだろうということですね。
つまり、長寿命化を図るために簡単に改善できるところは改善して、今のバッテリーは諦めて新品に交換するしかないっていう結論です。(涙で画面がよく見えない)
今日(12/27)はメーカーの年内最終出荷日だったので、ギリギリで発注が間に合いました。それにしても予想外の出費だ・・・。(ノД`)
↓蛇足のコーナーです↓
バッテリーはもう寿命だって言っても悪あがきしちゃいますよね~。hobbyトレーラー車載充電器の調子が悪かったんじゃないか?とか考えちゃうわけです。
まずはバッテリーをトレーラーから降ろしまして1個ずつ充電器にかけてみることにしました。
まず1個目、空っぽの状態から6Aモードで充電開始。吸収充電含め4時間ほどで充電完了…。健全なバッテリーならそんな早く終わるわけないのに…。
トレーラーの充電器は正常のようですね。これはこれで安心しました。
2個目も同じように4時間ほどで充電完了表示。
ちなみによくありがちなネット上情報でバッテリーチェッカー(診断機)で劣化具合を調べるというのがあります。
試しにサイクルバッテリーを充電直後に自動車用バッテリーテスターで調べてみると…
これを見る限りではCCA値も基準並みにあり全体として良さそうに見えてしまうんですが、これは誤りです。
サイクルバッテリーはこのようなテスターで劣化具合を診断することはできません。
(正確なCCAを測定する代わりにバッテリーの内部抵抗を測定し、独自の方法でCCAに近い値に変換して表示する物が多いため)
ただ、情報としていくつかの項目は利用することは可能です。
事実このように良さそうな結果が出たバッテリーですが、実際は冒頭のように使い物にならない状態です。で、使い切った後に点検すると以下の下段のようになっています。
満充電状態時のCCAが基準値付近で、特にSOHが91%もあったら「なんだよ全然ピンピンしてんじゃん!」って勘違いしがちですよね。そして内部抵抗値もそれ程悪くなく出ているので鵜呑みにしがちですが、内部抵抗値は自動車エンジン始動等の大電流取り出し時に重要になってくる部分なのでこれだけで「良判定」を出すのは早とちりです。(逆に言うと内部抵抗値が高くてもゆっくりと電気を取り出すのであれば影響ありません)
逆に放電しきったバッテリーを測定したところで、それはそれで判断材料として健全なのか?というとそうでも無く。
色々ひっくるめて言うと、サイクルバッテリーは同一商品新品との比較データーを持っていない場合、実容量試験をするほか無いのが現実です。