びーだぶ家のキャンピングトレーラー日誌

デリカD:5ディーゼルでキャンピングトレーラー(Hobby 490KMF)ひっきーしてます。基本DIYでのメンテナンスや改造、修理を試みています。

FIAT DUCATO紹介①基本構造編

2023年6月に新車で購入したDUCATO L3H2の紹介をしていこうと思います。私自身が貨物自動車として使っているのでそういった目線での解説になっていますが、お仕事や趣味でお使いになる方や何かのベース車両としてご購入を検討している方の参考になれば幸いです。尚、私はコースター ビッグバン ロングからの乗り換えです。

 

全景

まず車体の基本的な構造として、DUCATOは前輪駆動のモノスペースタイプLCV(Light commercial vehicle=車両総重量3.5t以下の商用車)に分類されます。

日本ではあまり馴染みの無い車体構造ですが、同じような構造で日産のNV200という車があります。

日産NV200 Wikipediaより

NV200は前輪駆動で荷室の屋根はやや高くスライドドアとハッチゲートをもつ車。

しかしNV200は長さ4.7m、幅1.7m、高さ2.0m以下の小型車サイズ。対してDUCATOは長さ5.4~5.9m、幅2.05m、高さ2.5~2.7mと数字で見ても判るように、1回りも2回りも大きい車体。

あえて同クラスを見つけるとなるとトヨタ コースタービッグバンになりますが、メジャーな車種と言うことでハイエース・NV350等のワンボックスバン(以後、ワンボックス)も含めて比較してみようと思います。

ワンボックスと比べて大きく異なるのは主にフロントの形状(エンジン搭載位置・運転席位置)です。ワンボックスは車体全長を抑えるために運転席下にエンジンを収めてありますが、モノスペースであるDUCATOはミニバンのようにフロントにエンジンルームがあるおかげで運転席は足下や腰回りが広く作られています。これにより前輪の位置も前方に位置している為、乗員の上下振動を抑えることができています。

また別の観点から見ると、衝突時におけるクラッシャブルゾーンが多く設けられているので万が一衝突した場合でも人体への影響が抑えられるような構造にもなっているだけでなく、より流線形状を採用することができるので燃費にも良い影響を与えています。

 

では現車を少し紹介していきます。

スライドドア開口部

荷物が載っているのであまり綺麗ではありませんが、スライドドアの開口にご注目。

開口部高さは1,750mm程もあるので立ったまま易々と荷室内に乗り込むことができますし、間口幅も1,560mm程あるのでフォークリフトでJISパレットを載せることもできます。

※床板は自作で作った物なので、標準では鉄板むき出しの床面となります。

 

乗員席と荷室の間には隔壁がありますが、これはボルト止めなので取り外すこともできます。つまり乗員席と荷室を一続きの空間にすることが可能。尚、その場合は運転席、助手席共に回転させて後ろ向きに反転させることが可能になりますので荷室にテーブルでも置けば休息空間にもなります。レーシングカートやバイクのトランスポーターとして検討される方にも適しているのではないでしょうか。(車検時には隔壁を戻すか、仕切り棒を1本取り付ける必要有り)

 

車両後部

後ろにはFIATのCIマークと、「PROFESSIONAL」のエンブレム。

上部のハイマウントストップランプにはバック時用の直下監視用カメラと、走行中の後部遠景監視用カメラがそれぞれ取り付けられています。テールライトはフルハロゲン球。

そして後部においてかなり目立つのは、ドアのヒンジ。

ドア開

片側だけ90°位あけてみた所。そして何も操作せずそのままぐいーっと開くと

ドア全開

およそ270°扉を開くことができます。荷物の積み下ろしをするだけなら90°位開けば問題ないのですが、大きく180°以上開けば扉も邪魔にならず、後続車にテールライトやハザード点滅を見せることができるので追突の危険性を防ぐことができます。

左側の扉は右側を開けてからじゃないと開きませんが、どちらも同じように270°開きます。

更に言うとバックドアが観音開きで尚且つコースタービッグバンよりも大きくドアが開くことにより、後部からもフォークリフトでの荷物の載せ下ろしが可能です。

(後部タイヤハウス間の幅が1420mmあるので、JIS規格のイチイチパレットも余裕で載ります。横と後ろからでパレットが2枚は載りますね。)

こういった積載方法ができる国内正規販売のバンは今のところ国産・外車問わずDUCATOしかありません。

尚、私が購入した個体は車両重量が2,160kg、乗車定員2名(55kg×2)、最大積載量が1,200kgとなっています。

これにより車両総重量は3,470kgとなり、普通免許(3.5t未満)での運転も可能だというのも嬉しいですね。

 

ちなみにドアロックは乗員席側と荷室側で別系統になっており、施錠状態から乗員席を解錠しても荷室側は連動して解錠されませんし、荷室側を解錠しても乗員席側は連動して解錠されません。ただ、施錠だけは両方連動です。キーレスリモコンも【乗員席の解錠】【荷室の解錠】【施錠】の3ボタン式です。

これは防犯上かなり優れていると思います。一般的に国産ワンボックスでは運転手が乗り込もうとして解錠すると荷室側も解錠されるので、隙をみて泥棒や車上荒らしが入ることがありますがこれならそのリスクも減ります。尚、運転席から荷室の施錠・解錠をしたり全ドア施錠をするボタンもありますので一々キーを持ち歩いてボタンを押したりする必要は有りません。

 

運転席側

ぐるっと回って運転席側ですが、荷室のドアが無いので本当に何もありません。

看板を入れるにも自由なレイアウトが組みやすいと思います。

 

DUCATO L3はホイールベースが長く、なんとマイクロバスのロング車よりも長い4,035mm。短い方のDUCATO L2でもホイールベースが3,450mmあるので、こちらもマイクロバスの標準車よりも長いです。これにより乗り心地、直進安定性は抜群なのですが、最小回転半径は前輪駆動なのもあってL2で6.3m、L3で7.2mとやや不利です。しかし乗り回しているとそれ程影響は感じません。

ちなみに最小回転半径ですが参考までに

ワンボックス 5.2~6.3m、

コースタービッグバン 5.5~6.5m

となっております。この辺りはワンボックスと比べる事自体無理がありますが、同クラスのコースタービッグバンと比べればそこまで変わらないかな?と思います。

 

DUCATOの駆動方式は前述の通り前輪駆動で、私のL3H2の場合ですと空車状態では前軸に1,400kg、後軸に750kg程の軸重となっています。

私は普段荷室に400~500kg程度の荷物を積んで走っているのですが、特に何も感じず安定して走行できています。というよりは、後輪駆動の車に比べると道路の轍や凹み等でハンドルが取られたり後輪が振られる事が無いので後輪駆動車よりも走行は安定しており、直進している時の修正蛇が必要が無いので疲労はかなり少ないです。

前輪駆動の弊害を敢えて言えば、最大積載量まで荷物を積載し後軸にも相当な荷重がかかっている場合での積雪路や凍結路、悪路の登坂路の走行をすれば駆動力に不安が出る場合もあるかと思いますが、DUCATOにはそういった場面で力を発揮するトラクションプラス機能(別記事で説明予定)が備わっておりますので単純な前輪駆動車と比べればやや安心できるかと思います。

まぁ私の場合、雪が降ったり路面が凍るような所に仕事は無いので問題にはならないのですが…。

 

基本構造編のまとめ

・貨物車なのに運転操作感はミニバンと同様なので長距離も快適

・エンジンと前輪が座席より前にあるので乗り心地が良く、夏でも足下が暑くない

・燃費や乗員保護に優位な車体形状

・パレットを2枚フォークリフトで載せられる広大な荷室と開口部

・窓も無く単独で施錠できる荷室に荷物を載せられるので、高額商品輸送にも最適

・ワンボックスに比べると小回りは流石にきかない

・トラックと同様の駐車スペースが必要になるかもしれない

・前輪駆動なので最大積載だと低μ路の登坂で駆動力が抜ける事もあるかもしれない

 (駆動力の抜けを制御するブレーキLSDが実装されていますのでさほど不安は無い)